ここは山奥にひっそりと佇む穴場のカフェ
穴場すぎて客はまったくこない
しかたがないので自分の為にコーヒーを淹れる
今日は新しい豆を仕入れてきたので試すのにちょうどいい
もう残りがこれだけしかなかったのだ
さっそく空きビンに今日買ってきた豆を入れ替えてみた
全部はこのビンには入りきらなかった
わずかだが溢れてしまったのでそれを使ってさっそく挽いてみることにしよう
いつもどおり ゆっくり ゆっくり
どうせ一人分なのでのんび挽こう
さて新しい豆はどんなものだろうな
種類はモカブレンド
カウンターで飲もうかとおもったが今日は風もなく暖かいので
テラスの方で飲むことにしよう
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酸味が少し強めだがマイルドでなかなか飲みやすい
名前も知らない小鳥が三匹ほどで追いかけっこをしている
目で追うのをやめ目を閉じて
小鳥たちのさえずりを耳を澄ませて聞きいる
なんて穏やかなのだろう
目を閉じているのに音だけでかわいい小鳥達の位置がはっきりとわかる気がした
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・・今なら撃ち落とせそうな気がする!!!
まぁ さすがに撃ち落とすのはかわいそうなので他のものにしておこう
客もこないし暇なので下に降りて扇子を流木の上にのせてみた
なんだろう・・・どことなく松の木にみえなくもないのが不思議だ
上にあがり弓矢を用意する
壁にかかっている上段の愛用の弓を手に取り矢を三本ほどつかんでテラスへと向かう
弓と扇子といえばやはり那須与一を連想してしまう
与一の場合は浜辺から船の上の扇を打ち抜いたらしい
私がツリーハウスの床を踏むたびにギィギィと音がなる
まるで船の上にいるような錯覚になる
揺れる船の上から浜辺の扇を撃ち落とすのも相当に難しそうだ
矢をつがえ弦を引き絞る
狙うは一点
扇めがけて矢を放つ!!
・・・よし・・・
いまのは無かったことにしよう
気持ちを新に矢をつがえ
精神集中
弦を引き絞る!
おまわりさん コイツです!!
ファッ!?
いえ・・・これは違うんです!
そういうのじゃなくて
そう・・・
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映画の撮影です!!
・・・・さてと・・・
コーヒーでもおかわりするかな
ここは山奥にひっそりと佇む穴場のカフェ
穴場すぎて客はこない
今日も 白面亭は通常営業中
注意:この物語はフィクションであり実際にこのようなお店はありません
もし似たような場所を見つけたとしてもそっとしておいてあげましょう
キツネさんとの約束よ