あれは何時のことだっただろうか・・・・・
僕がまだ小学校3年ぐらいの時だった気がする
もう20年も昔のことか
あの頃はちょうど学校の七不思議やら夏休みの怪談などが流行っていて
学校のいたるところで色々な噂話が飛び交っていた
たしかその中の一つにこんな話があったのを今思い出した・・・・・
その話も誰が言い出したのかもわからないし
細かいところまでは忘れているが確か
子供が神隠しにあって一周間ぐらいたったある日、ひょっこり戻ってきたんだった
その子が言うにはなにかの動物を追いかけているうちに道に迷ってしまい
気がついたら目の前に何個もの赤い鳥居があったんだったとか
そしてその子は確か沢山ある赤い鳥居をくぐるのが楽しくなってどんどん奥へと入り込んで
いった
そうちょうど今の僕みたいに・・・・・
何故僕がこんな状況になっているのかはその前の記憶があやふやで思い出せない
気が付いたときには赤い鳥居が沢山ある場所で佇んでいた
そのあとその子はどうしたんだったっけか・・・
そうだずっと赤い鳥居をくぐっていってなんか祠のようなもが建っている場所にでたんだっ
た
僕も思いだしながら奥へとすすんでいくとやっぱりそれほど大きくはない祠のような建物が
視界に入ってきた
そしてたしかその時の話では祠の裏手に・・・・・
うーんなんだったかななぁ たしか何かがあったんだけど・・・
僕も祠の横に回り込みなんだったか思い出す
そうそう!
たしか白い靴をはいた青い鳥居が三基あって・・・
!!?
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・同じだ・・・・・・
祠の裏手にまわると僕がまだ小学3年生のときに聞いた記憶どおりに
白い靴をはいた青い鳥居が三基
並んで建っていた・・・・
まだ頭がぼんやりしていてその先にも話があったはずなんだけど思い出せない・・・・・
でも何でかわからないけど先に進まないといけない気がするんだ
僕はあたりを警戒しながらも
白い靴をはいた青い鳥居をくぐりぬけうっそうとした細い山道のような場所を進んでいった
その山道は一本道で迷うことはなさそうだった
どうも時間の感覚が曖昧でどのぐらいその一本道を歩いていたのか思い出せない
でも目の前の高い位置になにやら建物が建っているのに気付いた
いったいこの建物はなんなのだろう・・・・
この建物のある場所で行き止まりみたいで他に行く場所はない
なぜかそのときの僕は引き返すという単純な選択を思いつくことさえないまま吸い込まれる
ようにその建物に近づいていった
所謂ツリーハウスというものだろうか
自然の木の上にこじんまりとした小屋がのっている
橋でつながった隣のものはどうやらテラスの様になっている
その橋の下をくぐると上にあがるための階段を見つけた
そしてその階段のところになにやら看板のようなものがぶら下がっている
近づいてよくみてみる
なになに・・・
注文の少ない喫茶店
っぷw
注文が少ないってw
それにしてもこの建物は喫茶店だったのか
いろいろ注文をつけられずにいきなり体に塩をぬりこんで味付けしてお入りださいとか
言わないだろうな
小さいころ読んだ童話を思い出してしまった
この先はどうやら行き止まりのようだし喉も少し乾いたな
せっかくだから寄って行ってみることにするか
僕は上の小屋につづく階段を上がり扉を見たとたんに
ハッっと息を飲んでしまった
その扉にも看板のようなものが掛っておりこんな文言が書いてあったからだ
入店の際はそこの塩で身を清めて、お入りくだちい
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・おいおい・・・・・
マジかよ・・・・・・・・
なんか頭の中を覗かれたような気持になったが
だからそこ余計に中に入ってみたくなってしまった
二回ほど深呼吸をして意を決してドアノブに手を掛け
扉を開けて店内へと入っていった
中にはいると
「いらっしゃい」
と声をかけられた
とくに何の特徴もない風貌のマスターがカウンター内から話かけてきた
「すいません 今やってますか?」
僕は差しさわりの無いことを聞いてみた
つづく